2017年8月12日土曜日

兄からの贈り物~「国宝・閑谷(しずたに)学校 Timeless Landscapes 1」

先月、家族と遊びに来てくれた兄が、一冊の美しい本をプレゼントしてくれました。建築写真の第一人者 小川重雄氏によって見事に映し出された、岡山県の国宝・閑谷(しずたに)学校の写真集です。みなさんはこの学校のことをご存知ですか?私たちは全く知りませんでした。1670年に創建された日本初の「庶民のための学校」で、2015年には「近世日本の教育遺産群」として「日本遺産第一号」に認定されているそうです。

兄は、出版社からの依頼を受けて、この歴史的建築物の解説を書きました。建築史・保存修復、古代エジプト建築、東南アジア建築技術史などを専門とする大学教授の兄を心から尊敬しております。偉ぶらず飄々として、服装にこだわらず髪はボサボサ・・・妹にとっては、とても教授には見えないところがまた魅力的です。なにしろ優しい兄で、子供の頃からどんな時も妹の私を可愛がってくれて、喧嘩をした事がありません。

さて、こちらがその本ですが、兄に言われて良く見ればなるほど、製本に並々ならぬこだわりを感じさせられます。
透明のカバーを取り除くと、背の部分に黒い布が貼ってあります。なんとなく、小学校の出席簿を思わせる装丁です。表紙と裏表紙には国宝・閑谷(しずたに)学校の拭き漆を施された、夜の海の様にも見える床面の写真が使われています。

「磨き出されて黒く沈み込むように見える床面は、あたかも巨大な1枚の鏡であるかのように、この建物の柱や窓を反転させて映し出す。」(兄の解説文「時を超える知恵の小箱」より)
そしてページをめくれば、優雅な曲線を描くいくつもの窓、備前焼の屋根瓦、建物を取り囲む立派な石塀など、この300年の歴史を持つ素晴らしい建物の精巧な細部を目の当たりにして魅了されてしまいます。 
もっと写真をご紹介したいところですが、キリがないのでこの辺で。

そうそう、フィリップが兄におねだりをして、サインをしてもらい、大喜び。
解説は英語にも訳されています。ご興味のある方は是非こちらで!いつの日にか国宝・閑谷(しずたに)学校を訪れてみたいと夢見る、土曜日の午後であります。


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