2022年9月18日日曜日

金曜モルグは甘い香り〜2008年11月22日のフランス日記より

本日は、12年前のシェルブールでのエステサロン初体験日記をお届けいたします。

すす「ポルナレフとかエルトン・ジョンとか言って笑うのやめてにゃん!」

20081122

金曜日にフレンチ・エステを初体験して来た。このエステのチケットは、ドゥニーズ夫妻とフランソワーズ夫妻が去年9月に「暇そうで元気がないから気分転換しておいで。」とプレゼントしてくれたもの。


せっかく頂いたプレゼントなので、早く行って贈り主たちに報告したかったのはやまやまだが、その後仕事を始めてにわかに忙しくなり、思い切って予約日を入れたら父の訃報が届いてそれどころではなくなり、その後予約を入れ直したら当日風邪をひいて寝込み、キャンセルせざるを得なくなった。


これはもしかしたら、このエステへは行くなということかなどと訝ったが、どうしても行かねば気が済まない。ぐずぐずしていて有効期限が切れでもしたら、彼女たちに顔向けができぬではないか。そんなわけで、今日無事に行って来られて心底ほっとした。 


お馴染みクリスティンヌ通りにあるそのエステへ着くと、ブロンド巻き毛の可愛いお姉さんが、更衣室へ案内してくれた。そこには白いガウンと使い捨ての紙パンツが。これか、ドゥニーズが大喜びで予告してくれたのは。


真っ裸になってガウンを着込み、さて、その噂のパンツをはこうと広げてみたが、どういう向きで、どうはくものなのかがさっぱりわからない。しばらくあぁでもない、こうでもないとその紙ヒモパンツを縦や横にしてみたが、日が暮れそうなので恥を忍んでお姉さんに訊いてみた。するとあぁら不思議。彼女の手にかかると、その得体のない代物がちゃんとパンツになるじゃないの。 


案内された部屋は薄暗く、真ん中にでんと偽大理石のベットが設置されていた。ステップを上がって、言われた通りにそこに紙ヒモパンツで仰向けに横たわる。ほう、ヒーターが入っていてじんわりと熱が伝わって来て、大層気持ちが良い。


ところが、横目で観察すると、ベットの両脇にミゾが有り、排水口がついている。これはどこかで見たような・・・あ、アメリカ映画で良く登場するモルグ(死体解剖)用ベットだ。そう思った途端に寒気がした。 


オイルでのマッサージが約30分、その後全身にチョコレートを塗りたくられ、ビニール・シートに覆われて20分ほどのリラックス・タイム。ちなみに、このチョコレートというのは私の選択。ハーブかチョコレートか選べるといえば、ねぇ、そりゃチョコレートでしょう。残念ながら好みのブラック・チョコレートではなかったものの、食べるわけじゃないからまぁいいね。西洋版喜多郎のような変てこなバック・ミュージックに吹き出しそうになるのをこらえ、じっと目をつぶるものの、モルグのイメージが頭から離れずなかなかリラックスできない。


しかも堅いベットに尾骶骨が当たって痛いのなんの。検視官(お姉さん)に言ってお尻の下にタオルを敷いてもらったら、今度は背中が浮いて体重のかかるかかとが痛い。検視官に満面の笑顔で「どう?気持ちいいでしょう?」と言われて、チョコレートまみれでおとなしく頷く死体。実は早くお家に帰りたくて、帰りたくて。


寝たままシャワーでチョコをさっと流してくれたものの、身体はオイルでぎとぎと。「ね、お肌がつるつるになったでしょう?」と言われておとなしく頷く死体。実は体中かゆくて仕方がない。 


帰宅してすぐにシャワーを浴びて身体を綺麗に洗い、やっと生き返った心地がした。それでもチョコレートの匂いはまだぷんぷんしていて、怪獣たちの羨望の的となったのだけれど。


ポチッと応援よろしくにゃん!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
にほんブログ村 外国語ブログ フランス語へ   

にほんブログ村 猫ブログへ

0 件のコメント:

コメントを投稿