フランスでも美容院へはほぼ毎月のように行っていたのですが、果たしていくつの美容院を試したのか、もう数え切れないほどです。何ヶ月か続けて行ったところもあれば、一度で懲りたところもあります。
比較的長い間通っていたシェルブールの美容師さんは、ジャン・フランソワという名のゲイでした。他の美容師の女性たちが手を休め、無駄話に花を咲かせている中、黙々と仕事をこなしていました。小ぎれいで、真面目で、カットがとても上手でしたが、その後、南仏の美容院へ移ってしまいました。彼もまた、ノルマンディの悪天候に嫌気がさしていた一人だったのかもしれません。
男性の美容師さんの方が相性が良い気がして、「ジルのアトリエ」という店へも行ってみました。店長のジルは生まれも育ちもシェルブールで、一般の顧客の他に、家族や親戚、友達、同級生たちがこぞって通って来るので大繁盛です。ジルの腕が良いことは認めますが、何しろお喋りが絶えません。例えば、私をカットしている最中に、店の前を幼友達が通ったと手を振り、立ち話をしに店を出ます。しばらくして戻ってカットを続けていると、親戚が来て、「前髪だけちょっと切って。」と頼まれ、行ってしまいます。それが家族の近況報告をし合いながらとなるので「ちょっと」では済みません。私は濡れた髪のまま、長々と待たされることになるのです。日本では考えられないようなことですよね。
フランス人の友達に通っている店を教えてもらったり、ネットで人気店を探したりして、その後もあれこれ試してみました。
例えばこちらが「エリート」というお店です。ネーミングに抵抗を感じましたが、比較的人気があり、何度か行きました。値段が高いわりに今ひとつ満足できず、やめました。
こちらは「アトリエ・カトリーヌ」というお店です。店長のカトリーヌさんを指名予約していたのにもかかわらず、当日行ったら「カトリーヌは他のお客さんで忙しいので。」と、アシスタントの女性の担当となりました。とても高かった上、勧められて買ったシャンプーが良くなかったので、がっかりしてやめました。
フランスの美容院で驚いたことが、カットの後、シートや顧客やそこらじゅうに散らばる髪の毛をドライヤーの風で吹き飛ばす点です。隣に他の顧客が居ようが、そばに顧客のかばんがあろうが、気にせず豪快に、自分のテリトリーから吹き飛ばすのです。
日本人の髪質を知り、丁寧な仕事をしてくれるのはやはり日本人と、パリの日本人経営の美容院へ行ってみたこともありました。
ピラミッド駅からすぐの、Taeko FUJIIというお店です。「3ヶ月前にパリへ来て、フランス語は全くわかりません。」と爽やかに笑う若い日本人の男の子が、程良いお喋りの後、思った通りに仕上げてくれました。パリにはこの手の美容院がたくさんあります。日本人の仕事ぶりを慕って、日本人以外のお客さんも多いようです。
とはいえ、パリまでは列車で3時間、旅費をかけてまで通えるわけではありません。最後の半年くらいは、シェルブールのこちらの美容院へ通っていました。
先ほどから、担当の美容師さんの名前を思い出そうとしているのですが、いまだに出て来ません。とても大柄で、見かけ通りダイナミックな仕事をする美容師さんでした。仕上がる頭はなんだかいつもぼさぼさでしたが、新しい美容院探しはいい加減面倒になり、感じの良い美容師さんなのでまぁいいかと思うようにしていました。今日も元気に大胆にはさみを動かし、同僚たちと大声でお喋りをしながら、散らばった髪の毛をドライヤーで吹き飛ばしているかしらと、懐かしく思います。シャンプーの泡のように、ちょっとはかない思い出です。
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