2022年9月12日月曜日

「ちゃんと」住所変更〜2010年3月24日フランス日記より

約10年間フランスで暮らしていた私ですが、フィリップと日本へ戻ってからもう9年半、しかもその間一度もフランスへ戻っていないので、だんだん記憶が薄れて来ました。

住んでいた頃の日記を読み返してみたら・・・そうそう、フランスってこんな風だった!

すす「フランスなんて知らにゃい、それより遊んでにゃん!」

というわけで本日は、フランス在住時代のある日の記録をご紹介いたします。

2010年3月24日

引っ越しには住所変更がつきものだが、フランスの場合こういう手続きがすんなりと行ったためしがない。引っ越し後も旧住所に届く郵便物を新住所へ半年間郵送という有料サービスに登録したが、ある特定の知らない家族の郵便物まで転送されてくるようになった。配達人にその旨伝えたが、相変わらず何度でも届き、近所の郵便局で説明してから最近やっと止まりほっとした。 


それから、私の身元を証明するフランス滞在許可証の住所変更の必要もある。シェルブール市にマンシュ県庁の出先機関があるので、昨年末そこで手続依頼をした。外国人の諸手続担当のもさっとしたおじさんに、どの位時間がかかるかと問うと、「ここから県庁に書類を送るんだけどねぇ、こういう重要じゃないのは放置されがちだから、まぁひと月か、もうちょっとかかるか・・・なにしろできたら連絡するから。」という返事だった。 


以来3カ月、しーんと音沙汰がない。この事務所へ2度程行ってみたが、その度にこのおじさんは不在だ。代表番号へ電話してもわからんちんばかりで全くらちが明かず、だんだん真剣にいらいらして来た。 


昨日の午後、またも彼の事務所のドアは閉まっていた。ぴったり閉ざされたその事務所前で、地団駄を踏んで暴れたくなった。隣の事務所に居た女性に鼻息荒く経緯を訴えると、彼の名前と事務所の直通電話を書き留め「まぁ、明日は来ると思うから」と、取ってつけたような同情顔を見せながら渡してくれた。 


で、今朝その番号へかけてみると、やっとそのおじさんが出た。 

「住所変更をしてからもう3カ月以上経つのですが、手続はまだでしょうか?」と尋ねると 

「ね、だから言ったでしょー。県庁はねぇ、こういうの遅いんだよね。」と、このおじさん、軽くて妙に馴れ馴れしい。 


「県庁へはすでに問い合わせをしましたが、私の書類はないそうです。その場合、すでにそちらへ郵送済みか、あるいは手続き書類がそちらから届いていないことが考えられるそうですが。」と怒りを押し殺しながら伝えると、ちょっとトーンが変わり、 

「え?そうなの?じゃ、ちょっと待ってください。調べてみますからね。ええと」とパタパタとキーを打ちこむ音。 


そして「あれ、ないな、データ。あなたが書類を送ったの?それとも僕?」などととぼけたことを言う。 

どすを利かせて短くゆっくりと「あなたです。」と言うと、 

「え?ああ、そう。ちょっと待ってね。書類見てみるから。」とガサガサ言う音。その乱雑な机の上を思い出して血圧が上がったが、もともと低すぎるのでちょうど良い。 


「あ、見つけた、見つけた。あなた、1228日に来ているね。僕は番号だってちゃんと控えている。ほらね、ちゃんと県庁に送っている。で、届いたらあなたに電話するよう、携帯番号だってちゃんと書き留めている。」とすっかり得意になって、まるで全てが解決したかのような口調だ。 


そこで「そうですか。それで?」と冷淡にぐさりと尋ねると、おじさんは我に返ったように「ええと、それで、それでとちょっと待ってくださいね。」でまたガサガサガサガサとすごい雑音。 


しばらーく電話口で待っていると 

「あ、あった、あった。僕の郵便物と一緒にね、あなたの書類、ちゃんとありましたよ。」だって。届いていたんかい!


「ちゃんと」ってそういう風に使う言葉たっけ?もう呆れて開いた口がふさがらなかったけれど、その後にすぐおじさんが「すみませんでしたねぇ。」と言うのを聞いて耳を疑った。 


なにしろ、フランス人でこの言葉が出る人はめったに居ない。他人のせいにするか、言い訳をして自分のミスを謝れない人が多い。おじさんはもさっとしていて仕事ができないし休みも多いし腹がたつけれど、謝ることは知っているんだ。まぁ仕方ない。天気も良いし、鳥もさえずっているし、文句はない。


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