その晩、フィリップは得意のウサギ料理でおもてなしをしました。ウサギは、とある輸入業者から、唯一可能だったスペイン産を取り寄せました。みなさんに美味しく食べて頂けて嬉しかったのですが、フィリップは「フランスでならフランス産のフレッシュなウサギをご馳走できたのに」と、ちょっぴり残念そうでした。
そうそう、ウサギ料理と言えば「心嬉しい晩御飯~うさぎ美味しいかの山」でご紹介したことがあるように、根城の本格パティスリー Le Plaisir (ル・プレジール)のパティシエ隆悦さんと喜代美さんご夫妻にも食べて頂いたことがありました。
いつだったか、Galleryたなか1890さんでの雑談で、「日本でも、日本産のフレッシュなウサギが手に入ればなぁ」とフィリップが何気なくつぶやいたところ、心優しいみつこさんが「知り合いに訊いてみましょう!」と仰ってくださいました。
あれからすっかり忘れていたのですが、一昨日。なんと、みつこさんから「ウサギが手に入りましたよ!」と驚きの電話があり、和勇さんとすぐに届けてくださったのです!お知り合いの猟師さんが山で獲ったウサギだそうです。ジビエです!山ですぐに皮を剥いで内臓処理をして、数日吊るして冷たい風にさらして熟成させてあったんですって。そんなわけで、思い描いていたのとは見た目が違ったので、フィリップは最初は少し驚いていましたが、すぐに台所に立って、解体作業に入りました。野生のウサギだけあって、やはりももが発達していると感心しながら、とても嬉しそうでした。
下ごしらえから戻って来て、私たちとの楽しいお喋りに加わってからも、きっと実は頭の中はウサギのことでいっぱいだったのでしょう。しばらくしてから、「スミマセン」といそいそ、また台所に戻ってしまいました。にやけながらウサギ肉にどぼどぼと赤ワインを一本注ぎ、コニャック、オリーヴオイル、リーキ、人参、エシャロット、ねずの実などを入れてマリネするフィリップを、みつこさんがカウンター越しに面白そうに覗き込んでいました。その二人の様子が、またなんとも愉快でした。
ひと晩冷蔵庫でマリネして、翌日は急きょ買い出しに。フィリップが「今回のウサギ料理に欠かせないのはジュレ!」と騒ぎ、向かったのはもちろん、このブログでもお馴染みのジャム工房otte(オーテ)栄子さんのところ。悩ましい程美しい「りんごの雫」を選ばせて頂きました。赤い小さなりんごの、シードル入りのジュレだそうです。栄子さんのセンスが光る逸品です。
こうして、昨晩フィリップが用意してくれたウサギ料理がこちらです。
一皿目でもも肉を、お代わりをして腰肉を食べたのですが、味わい深いウサギ肉と栄子さんのジュレとの相性が抜群で、格別美味しかったです。
フィリップが選んだ赤ワインともよく合って。私のオンボロ心臓にも赤ワインなら大丈夫・・・と、勝手に決め込んで楽しみました。
デザートは、otte(オーテ)さんの美味しさ満点のりんごのパイを頂きましたよ。
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