2013年9月22日日曜日

切り絵の思い出

先日「蝶の思い出」で少し書きましたが、ノルマンディに暮らしていた頃、切り絵に夢中になった時期がありました。なぜ切り絵だったのか、始めたきっかけはわかりません。もしかすると何かのきっかけで、幼い頃に大好きだった一冊の絵本の記憶が、突然蘇ったのかもしれません。
 




ご存知の方も多いと思います。斎藤隆介さんのお話を、切り絵、版画作家の滝平二郎さんが生き生きと描いた「花さき山」です。

滝平二郎さんの作品をご覧頂いた後で、とてもお恥ずかしいのですが、私が楽しみながら切った作品をいくつかご紹介したいと思います。

「松に鶴」
 
日本固有の文化である家紋の中から「三羽鶴」を選び、花札の「松と鶴」を意識して松を添えて作ってみた小さな額です。これは、ノルマンディの心の友れいちゃんが、大切な人へのプレゼントにと買ってくれました。
 
「笑う竜」
 
こちらは家紋の「日蓮宗竜の丸」を切り、背景に3種類の和紙を敷いて作った額です。この額は、友達のドミニクとシルビィ夫妻が買ってくれました。
 
 
 
そして最後がこちらの竜と鳳凰の紋様です。2匹が踊っているように見えたので「タンゴ」と名づけた35㎝四方の額です。
 
「タンゴ」
 
これには結構時間がかかりました。時折写真を撮っては、少しずつでも確かに進んでいると、自分を励ましました。暇を見つけてはカッターを手にして、黙々と切っていました。
 
 





やっと切り終え、にやにやとしながら、墨で色を付けました。

 
この額は、友達のドゥニーズが、旦那さんのミッシェルへの誕生日プレゼントにと買ってくれました。
 
 
「松に鶴」と「タンゴ」の売上金は日本赤十字社に、そして「笑う竜」の売上金は宮城県石巻市の津波被害者支援のために、それぞれ寄付させて頂きました。ささやかではありますが、日本を遠く離れ、何もできないで居る自分のもどかしい気持ちを、ちょっぴり和らげることができるような気がしました。買ってくれた人たちも、「日本がんばれ!」と同じ気持ちだったと思います。
 
「花さき山」の山ンばのこんな言葉を思い出します。

「この花は、ふもとの 村の にんげんが、
やさしいことを ひとつすると ひとつ さく。
あや、おまえの あしもとに さいている 赤い花、
それは おまえが きのう さかせた 花だ。」
自分の足元にも、これから花をたくさん咲かせることができたらいいなと思います。
 
切り絵の進み具合のように、ちょっと緩やかな思い出です。
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