2022年9月15日木曜日

沈黙は帯状疱疹なり〜2007年7月7日のフランス日記より

今日ご紹介するのは、フランス在住時代に帯状疱疹と診断された日の日記です。この病気で痛い目に遭ってから、場の空気を読んで黙るという悪い癖がいくらか改善されました。また、がむしゃらにがんばり過ぎず、時々おい大丈夫かと、自分に問いかけられるようになりました。

すす「おい、あたち、大丈夫にゃん?」

200777

一週間程前、熱が出て右脇の下から背中にかけてピリピリと痛んだ。そのうち、背中の右側に赤い発疹が直径10cm位の円を描くようにできているのに気づいた。これがなんともいえず痒痛くてたまらない。フィが、蜘蛛に刺されたのかもと言うので、虫刺されの軟膏を買って来て2日間程試してみたが、一向に良くならなかった。その上、右脇の下と右胸部にも同じような発疹のかたまりが現われ、痛みが増して来た。 


するとフィが「あぁ、これは蜘蛛の仕業じゃなかった、帯状疱疹に違いない。」

神経に沿ってできる赤い発疹、そしてこの痛み。二人でネットで日仏の情報を探し合い、それらの症状、写真などから、やはり間違いなさそうだと今度は私も確信した。 


昨日は友人たちを夕食に招待する予定だったが、そんなわけで大慌てで断った。日本のサイトによると、一週間は入浴禁止、そして絶対安静とある。フィが早速主治医に電話をかけて予約を取り、今朝早くに二人で行って来た。 


ドクターは私の背中を見るなり、「はい、帯状疱疹です。」と素早く静かに診断を下し、日本のサイトで学んだ通りのことを丁寧に説明し、抗生物質と痛み止めの処方箋を書いてくれた。時に疲れやストレスから発症するとのことで、フランスでの生活はいかがかと、優しい笑顔で尋ねてくれた。 


そう言われれば最近、ストレスがたまっていたような気がする。去年もおととしも、今頃は日本へ里帰りして心の洗濯をしていた。今年はそれが無く、怪獣たちとのバカンスが7月いっぱい続く。それはそれで楽しいのだが、実のところはやはり日本が恋しいのだ。その上、この夏ノルマンディは毎日天気が悪く、お日様が出ても強風で吹き飛ばされそうになる。夜もゴーゴーという音によく眠れず、悪夢を見ることもしばしば。仕事は見つからないし、思うように行かないことだらけ。だが、文句を言っても仕方がない。健康で、好きなことをして生きていられるだけで幸せというものではないかと自分に言い聞かせていたのだ。 


この辺のところをドクターに話すと、それらを口に出すことを「文句を言う」と思わずに、自分なりに外側へ表現することが望ましいと言われた。そう言われた途端に、涙が滝のように流れた。どうやら、私の表現不足が内側にたまって、帯状疱疹という別の形になって出て来たらしいのだ。恐るべし、人体の神秘! 


この痛みは一週間から、ひどい人は数ヶ月続くそうだ。しかし絶対安静である必要は全くないと聞いて嬉しい。シャワーだって大丈夫というから、日本の治療法とは随分違う様だ。 


そして最も違うのは「思ったことを表現しなさい。」というドクターのこの教え。「沈黙」は日本であるからこそ「金」なのかもしれない。


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