すす「いったいいつまでこのお話は続くのにゃん?」
コアラ、タヌキに内緒で日本へ帰巣し、2週間ほど息抜きをしておりました。
キャンセル不可なJAL航空券を予約したのは前年9月末。 「この調子なら、半年後にはどうせひょうたん会社は首になっているだろう。」と安易に申し込んだのです。ところが、意外にも首はずっとつながったまま。
誤算に一瞬たじろいだものの、すぐに開き直るのが脳天気なコアラ。「毎日定刻に連絡を取り、きちんとやるべき仕事をすれば何処に居ようと文句はあるまい。」と考え、「ま、面倒なことになるので、タヌキ一族には言わなくてもよかろう。」と決めました。タヌキはいつも寝た振りをして返事をくれませんが、こういうことになると即座に大騒ぎする動物ですから。
この大胆不敵なコアラの無断帰巣中には、
ー急にパリへ出張に行けという指示が出る
ーホテルのネット回線が故障して連絡が取れなくなる
ー関東でタヌキ社員にばったり遭遇してしまう
ーパソコンを壊してしまう、または盗まれる
などの危険満載、スリル満点。
上記のようなことが実際に起こった場合の対策として考えていたことは「死んだふりをする」でありましたが、何の問題もなく、死ぬ必要もありませんでした。
さて、業界には相変わらず冷たい風が吹き荒れておりましたが、コアラのクライアントたち、フランスのライオン、イタリアのトラ、ベルギーのシカは毎回きちんと注文をくれていました。
ところがアメリカのカワウソ、彼の市場の方はとても大変なことに。
まず、アメリカの大問屋が、数種類のひょうたん注文を突然キャンセル。以降、アメリカ市場からは、ほとんど注文が入らなくなりました。
タヌキのひょうたんは受注限定生産ですから、このようにキャンセルをされると大変困ります。クライアントに払えないからもういらないと言われ、カワウソは半泣きでした。本来ならこういうキャンセルは不可能なのですが、なぜか受け入れざるを得なかったようです。
見殺しにできなかったコアラは、ライオン、トラ、シカたちに助けを求めました。無理のないよう、いくつかでも追加注文したいものがあればとそれぞれに打診すると、イタリアのトラから「2種類追加注文しチャオ!」と返事が来ました。ライオンも一種類の人気ひょうたんを追加注文してくれそうな気配でした。本当にありがとう、みんな!
カワウソはこの吉報に大喜び。それから「実は香港の方もさぁ、今回のひょうたん、注文ゼロなんだよね。」なんて、楽しそうに語るではないですか。
「だいたいさぁ、あれじゃ売れないよ、あのひょうたんじゃ。人気ないじゃん。」なんて言うので、コアラはヨーロッパの受注数を口頭で伝えました。すると「えっ!ほんと?随分みんな無理しちゃってるんじゃな~い。大丈夫なのかねぇ。在庫抱えることになるんじゃないかなぁ。」などと失礼なことを。
その後すぐに私生活をべらべらと語り始め、挙句の果てには、月末から10日ほど、会社に内緒で入院するなどと言い出す始末。延々と聞かされたコアラ「カワウソさん、仕事の話が他にないのなら・・・」と、ばっさり話を切らせて頂きました。
アメリカもだめ、香港もだめで、どうするつもりだ、アメリカ・アジア担当者。どうにかならんのか、この動物は。なんとか立て直しができないものなのか。
(写真と登場人物とは一切関係ありません)
しかしカワウソとの電話の後、コアラの頭をよぎったのは、友達のブログで読んだこちらのジョークです。
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A la ferme, le cheval est malade. Le vétérinaire dit au paysan : «Je vais lui injecter un remède, mais si dans trois jours il n’est pas remis, il faudra l’abattre.»
ある農場に一頭の病気の馬が居ました。獣医は農民に言いました。
「馬に注射しましょう。でももし3日経っても回復しないようなら、射殺するしかないでしょう。」
Le cochon qui a tout entendu, dit au cheval : «Lève toi !»
Mais le cheval est trop fatigué.
この会話を全て聞いていた豚、馬に「起き上がれよ!」と言いました。
でも馬は疲れすぎていて起き上がれません。
Le deuxième jour le cochon dit : «Lève toi vite !»
Le cheval est toujours aussi fatigué.
2日目にも豚は「早く起き上がれよ!」と言いました。
馬は相変わらず疲れていて起き上がれません。
Le troisième jour le cochon dit : «Lève toi sinon ils vont t’abattre !»
Alors dans un dernier effort, le cheval se lève..
3日目に豚は「起き上がれよ、さもないと射殺されてしまうんだぞ!」
すると馬は最後の力を振り絞って起き上がりました。
Heureux, le paysan dit : «Faut fêter ça: on tue le cochon !»
農民は大喜び。
そして言いました。「お祝いをしなくては!さぁ、豚を絞め殺そう!」
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くわばら、くわばら、ブタの二の舞にならぬよう気をつけようと身震いをするコアラでありました。つづく
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