2022年8月27日土曜日

昔話「コアラのひょうたん売り」その11


「すすの耳はうさぎの耳」にゃん!

コアラ、ここのところとても忙しいのです。 本業はもちろんなのですが、人生相談の窓口のようなことになっています。というよりは、「王様の耳はロバの耳」の穴の役とでも言った方が良いでしょうか。 


結論から言うと、どうやら期待の星だったカワウソは首になるようです。そのいい加減さに耐え切れず、本社のアライグマが大爆発し「あいつを辞めさせないのなら俺が辞める!」と啖呵を切ったそうです。それでようやくタヌキが目を覚まし、きょろきょろと見回して現状を把握したようです。ただし、まだカワウソは知りません。 


温厚だとばかり思っていたアライグマの口から「あの馬鹿野郎、ぶっ殺してやる。」などという言葉を聞くことになろうとは思いもしませんでした。コアラが「まぁまぁ、そこまで言わんでも。」と宥めると「じゃ、半殺しにしておきましょう。」と来ましたよ。動物の性格、見かけで判断してはいけませんね。 


一方、カワウソはといえば、どうしてそんなにアライグマが怒っているのか、今ひとつぴんと来ない様子で、あんなことを言われた、僕悪くない、理由はこうなのに・・・と、くどくどメッセージを送って来ます。コアラと電話で話をしたいと言われるのですが、首になると知ってしまった以上、なんとも気まずいのでチャットだけで勘弁してもらっています。 


二匹とも、それぞれの怒りや無念さを誰かに聞いてもらいたいという、そういう気持ちなのはよくわかります。コアラにもそういうことがあります。ですが、自分の考えを話す相手にも認めさせようとゴリ押しするのはやめてほしいです。 


アライグマはコアラに

「ほんとだぜ、あの親父、ぶっ殺してやりたい。あんなの首で当然だ。アライグマさん、あなたは間違っていない。」と言わせたい。 


カワウソはコアラに

「本当ですね、アライグマはヒドイ、あれはいじめです。どうしてそんなことを言われなくてはならないのでしょう。カワウソさん、あなたは間違っていません。」と言わせたい。 


二匹とも、それをコアラに言わせたいがために、毎日毎日うだうだうだうだと同じことを言って来ます。やめてください。コアラは口が裂けても同調しません。 つづく


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