仔猫探しをしていた時、ひょんなことからエジプシャンマウという猫種を知って惹かれました。ペットショップやブリーダーのサイトをあれこれ検索して、「子猫ブリーダーナビ」で何匹かのエジプシャンマウを見つけました。その中で、フィリップと共にぞっこん惚れ込んでしまったのが、スモークのすすです。
とはいえ、ブリーダーAさんのお宅は横浜市。遠いので最初は少し迷いましたが、調べてみると、Aさんは1982年からCFAで審査員をなさっているベテランのブリーダー。しかも電話での会話の雰囲気から、とても可愛いがって育てた仔猫であることが伝わり、会いに行く決心をした次第です。ざっくばらんな感じで、セールストークがなかったので好感を持てたのかもしれません。
6月19日14時半頃、新横浜プリンスホテルに到着。チェックイン後にAさんに電話をしました。30分位でホテルへ車で迎えに行けると言われていたのですがいらっしゃらず、どうしたのかと気を揉みました。そして、1時間を過ぎてようやくいらっしゃったのは、酸素ボンベのチューブを鼻につけた年配の女性でした。82歳と聞いて驚きました。
私が助手席、フィリップが後部座席に乗ったのですが、運転がかなりダイナミックで。一度は赤信号でブレーキが遅れ、前の車にぶつかりそうになり、冷や汗が出ました。また、Aさんは家までの道が途中でわからなくなり、迷ってあちこち走り回って、どうなることかと。なんとか無事にお宅に到着した時には心底ほっとしました。
Aさんも疲れたと、少し二階でお休みになっていらっしゃいました。心臓疾患と糖尿病を患っているそうでした。知っていればお迎えは遠慮したのですが。
お宅には合計20匹の猫がいました。すすは、写真で見たよりも可愛くて、初対面なのに抱っこもさせてくれて。お母さん猫のマイちゃん(8歳)がフィリップに擦り寄って来て、まるで娘をお願いしますと言っているようでした。
(ブリーダーAさんのお宅にて。すすのお母さんのマイちゃん)
ただ、Aさんは心配ないと思うとおっしゃいましたが、すすの耳の後ろの毛が禿げていたので、何かの皮膚病ではないかと気になりました。また、2回目のワクチンが実はまだだったことも意外で、少し心に引っかかったのです。
その日、タクシーでホテルへ戻ってから、フィリップと気になることを話し合いました。そして最終的には、「もしかしたら後悔することになるかもしれないけれど、こうして出会ったのも何かの縁なので、やはり予定通り連れて帰ろう。」と決めたのです。
翌朝、またタクシーでAさんのお宅にすすを迎えに行くと、Aさんが「今朝ね、おトイレで目が覚めたの。」とおっしゃるのでびっくり。前日の夕方からおトイレで気を失っていたそうなのです。
タクシーを待たせており、新幹線の時間もあったので、急いでやりとりをして、お大事にしてくださいと告げて、お別れをして帰りました。
6月20日に自宅に戻って、翌日獣医さんのところへ。耳の後ろは掻き傷でした。また、猫風邪をひいていましたが、治療して今はすっかりよくなりました。21日、すすを可愛がっていらっしゃったAさんに、自宅での写真を添えてLINEすると、翌日お返事下さったのはお嬢さんでした。Aさんは20日に緊急搬送されて、22日に亡くなったそうなのです。
もし連れて帰っていなかったら、すすはどうなっていたでしょう。また、お母さん猫のマイちゃんやお父さん猫の行くあてはあるのでしょうか。そう考えると心が痛みます。
Aさんのご冥福を心からお祈りいたします。
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