2014年10月9日木曜日

ミュリエル・バルべリ著「至福の味」

先週、フランス人作家ミュリエル・バルべリによる処女作「至福の味」の原書と翻訳版を買って、フィリップと二人で読みました。2008年出版の第二作目「優雅なハリネズミ」で注目され、その作品が映画化されるほど人気だったので、この魅力的な女性作家のことをご存知の方も多いかと思います。


今回私が読んだのはもちろん日本語の方ですが、フランス語版の方もこれからゆっくり読んでみたいと思っています。フランス語版と日本語版を読み比べるのはとても勉強になります。これは大昔に一緒に働いたことのある、柴田さんという女性通訳のベテランの方がアドバイスしてくださった勉強法です。以来、気に入った小説は、フランス語版と日本語版の両方を読むように努めています。私の場合、それでもちっとも上達しないのが悲しい現実ですが、楽しめればいいやという感じです。

著者のミュリエルさんは、かつて哲学の教授であった才女ですが、なんとノルマンディのカン大学で教鞭を取っていたことがあるのだそうです。私は、短い期間ではありましたが、同じ大学の「外国人のためのフランス語習得コース」に通ったことがあります。フランスの古典文学、経済、法律、地理、文化などの授業をフランス語で毎日、朝から夕方までみっちり勉強させられたものです。苦しかったけれど、今となってはとても良い思い出です。同時代ではないにせよ、あの同じキャンパスにミュリエルさんがいらっしゃったと想像するだけで何だか興奮してしまいます。数年前の情報によると、写真家のご主人と京都で暮らしていらっしゃるということですが、現在はどうなのでしょうか。また、第三作目は京都をテーマに執筆中とも読み、待ち遠しいです。

 
「至福の味」は、死を目前とした料理評論家の老人のお話です。美食の世界に生き、あらゆるご馳走を食べて来たその老人が「人生の最後に何を食べたいか?忘れられない懐かしい味、あれは何だったか?」と病床で自問します。そして最期にやっと思い出すのですが、それがちょっと拍子抜けしてしまうようなものなのです。時にはユーモラスで、時には厳しい語り口のこの小説を一気に読んで、いろいろなことを考えさせられました。さて、自分だったら。私は最期に何を食べたいと思うだろうかとぼんやり考えてみたりする、木曜日の午後であります。

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