小食な母は、親方に数種類握ってもらっていました。私が好物の雲丹を食べながら幸せに浸っていると、フィリップが横で茶碗蒸しを食べながら「君の茶碗蒸しを食べてから随分経つな。ねぇ、まだ作り方を覚えている?」などと言うので、現実に引き戻されてしまいました。確かに、ノルマンディ時代には私なりにがんばって和食を時々作っていましたが、帰国してからはすっかり怠け者になってしまいました。
笑って受け流して食べた蟹の酢の物も、実に美味しかったですよ。
「フィリップ、みょうがは大丈夫?」と母が気遣ってくれました。そういえば、数年前に初めてみょうがをフィリップに食べさせた時に顔をしかめていたことを思い出しました。昨日は「みょうがだけでなく、蟹と一緒に食べると美味しい」と、残さず食べていました。カウンターの向こう側で親方が「みょうがを食べると物忘れをすると言いますよね」と笑いました。
さて、今晩の誕生日祝いにはフィリップが腕を振るってくれるそうです。また一つ年を取ってしまいましたが、悪あがきせず、自然体で自分らしくありたいと思っています。どんなお料理が登場するのか、わくわくと楽しみにする日曜日の朝であります。
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