2013年10月8日火曜日

きのこ

きのこの美味しい季節になりましたね。地元の食材を知るために、フィリップと近辺あちらこちらの道の駅に出かけているのですが、フランスや東京では見たことのない様々な種類のきのこに出合います。そのたびに買って来て、フィリップがその日の気分で料理しては、これはフランスのあのきのこに風味が似ているとか、食感がいいだとか、好きなことを言い合って楽しんでいます。

ノルマンディで一般に出回っているきのこと、八戸近辺で買えるものを比べると、八戸のきのこの種類の方が断然上回っています。値段もフランスより安いので嬉しい限りです。

今日はフランスで見られるきのこについてご紹介してみたいと思います。まずはこちらをご覧ください。ラルースの仏仏辞典で"Champignon"(きのこ)を引くと登場するイラストです。


緑の丸がついているものが食用きのこ、黄色が食用ではないが毒のないきのこ、赤が有毒だが死には至らないきのこ、そして黒が死の危険のある毒きのこだそうです。

フランスでも日本のように、きのこ狩りを楽しむ人がたくさん居ます。素人判断で、誤って有毒なきのこを食べてしまっては大変ですが、とても心強い助っ人が身近に居ます。フランスでは、薬局へきのこを持って行くと、薬剤師が有毒であるか、そうではないかを判断してくれるのです。

有毒の恐ろしいきのこはさておき、食用きのこを少しご紹介しますね。

「シャンピ二オン・ド・パリ(マッシュルーム)」
いろいろな調理法がありますが、私は薄切りにしてレモンをかけたものを生のまま頂くのが好きです。


「セップ(ボルチー二)」
日本ではイタリア語名で呼ばれていますね。身がしまっていて、香りよく、味が濃厚で、たまらない美味しさです。日本では乾燥ものを買うことが出来ますが、値段が高くて驚きます。


「ジロル(アンズタケの仲間)」
日本では杏茸という名がついており、それは杏の香りがするからだと知りました。よく食べていたのに、杏のような香りがしたかどうか、よく覚えていないのが残念です。土がついたまま売られているので、フィリップが小さなきのこをひとつひとつ、丁寧に刷毛でぬぐったものです。


「モリーユ(アミガサタケ)」
ちょっと見かけが悪いのですよね。中毒を起さぬよう、食べる時には火を通さないといけないそうです。
 


「ピエ・ド・ムトン(シロカノシタ)」
仏名を訳すと「羊の足」となりますが、日本では「白鹿の舌」だそうです。このきのこの裏側は剣山のようになっているそうです。時々食べたきのこです。


「プリュロチュス(ヒラタケの仲間)」
これは季節になるとスーパーの食品売り場でよく見かけました。味があまりしないので、めったに買いませんでした。日本のヒラタケは美味しいですね。

 
「トロンペット・ド・ラ・モール(黒ラッパダケ)」
仏名を訳すと、なんと「死のトランペット」となります。有毒ではないのに、なぜこんな不吉な名前をつけたのでしょう。色が黒いからかもしれません。その暗い色から、見つけるのが難しいきのこなのだそうです。これもノルマンディでよく食べたきのこです。

 
「トリュフ(トリュフ、セイヨウショウロ)」
言わずと知れた高級食材の登場です。日本でもトリュフと呼ばれていますが、西洋松露というなんとも素敵な和名があったのですね!クリスマスの時期などに、ええい!と奮発して買って唸りながら食べたものです。


まだ他にもありますが、この辺でおしまいにします。最後に、もうひとつのきのこをご紹介したいと思います。ノルマンディ時代に私が和紙で作った「森のきのこ」という名のランプです。このランプは、イタリア人の友達ロレンツォが、故郷に住むお母さんへのプレゼントに選んでくれました。


恥ずかしながら、このランプに合わせて当時作った小話もご紹介してしまいます。

『むかしむかし森にきのこが生えていた。ある日一人の少女がそれを見つけて言った。「まぁ、なんて綺麗なきのこ!採っていきましょう・・・」 すると「だめ、私は毒きのこなんです。採らないでください!」ときのこが言った。 「どうしてそんなことを言うの?そんなわけないでしょう、あなたはこんなに見事なんだから!」と少女が言うと、「だってみんな、わたしが毒きのこだって・・・。」と悲しそうに応えた。すると少女は満面の笑顔で言った。「他の人の言うことなんて聞いちゃだめ。嫉妬しているのよ。私もね、こんな美貌なのに、みんなは醜いって言うの。だから耳をかさないの。」 きのこはつくづくと少女を見てから言った。「あなたは・・・人の言うことを聞いた方がいいんじゃないかと・・・」』

何年も口にしていないマツタケの姿が目にちらつく、雨降りの朝であります。
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